福井で遺言書を作る方法とその選び方。それぞれの費用についても。

福井で遺言を作る方法

このページでお伝えできること。

  1. 遺言書を作る方法とその選び方
  2. 福井県内で遺言書作りや保管、相談に関わってもらえる機関のご紹介
    (全国にも同様の機関があるので県外の方もご参考にされて下さい)

注意:こちらでは遺言の「内容(書き方)」ではなく、「方法」のみお伝え致しますす。


方法1 手書きで自筆証書を作り、封筒に入れて自分で保管

自筆証書遺言
私が以前作った自筆証書遺言書です。市販の用紙を使用しました。(この用紙は余白等が条件にあっていない為法務局の保管制度は利用できませんが、自宅で保管するなら十分です。)
  • ペンで手書きで「遺言書 私は〇〇を〇〇に相続させる。」など本文を書き、最後に作成した日付、住所(住所は法令上は求められていませんが、記載する方がよいでしょう)、署名、捺印(認印でもよいとなっていますが、実印がお勧め)します。財産目録の部分に関してはWordや不動産登記簿・通帳のコピーでも可です(「内容(書き方)」については別のページで詳しくご説明します)
  • 用紙は手書きの文字がきちんと判別できるものであれば、特に規定はありません。記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないものが望ましいですが、ワンポイント程度のイラストが入っていてもギリギリ可のようです。
  • 自分で保管する場合は、仏壇の中、金庫の中、保険証など大切な書類のファイルの中、などに入れて保管している方が多いようです。
  • 作製にかかる時間は、内容が決まっていれば1~2時間でもできます。


メリットは、手軽、簡単、安い(紙とペンと印鑑だけあれば出来上がります)。

デメリットは、紛失や改ざんの恐れがあること。せっかく作った遺言を長期に大切に保管しておくのは至難の業です。自分で書いて自分で保管、となると信用性の問題にもなります。

 ただ、内容は大丈夫ですか?本当にあなたの想いは実現できるように法律にそってますか?法的に表現は間違っていませんか?そしてまわりの方、財産を引き継ぐ方の迷惑にはならない内容ですか?(実際に自分だけで作る自筆遺言については不安一杯なケースが多いです。私も新人時代に作った上の自筆遺言、勉強不足でかなり悩みました。)
 また、複雑な遺言(条項が多数、遺留分を侵害しそう、条件付き、相続人等を何人も記載する、株式などの金融資産があるなど)では公正証書遺言をお勧めしています。ミスの可能性だけでなく現実的に手続きが滞ったり、信用されずトラブルとなったりする恐れがあるからです。


方法2 手書きで自筆証書を作り、法務局で預かってもらう(自筆証書遺言書保管制度)

福井地方法務局の遺言書保管
福井地方法務局の遺言保管担当窓口は福井市の春山合同庁舎の6階奥、成年後見登記や国籍(帰化)関係窓口の隣にあります。
  • 法務局では手書きで自分で書いた遺言をデータ化して「紙の原本」とその「データ」を預かってくれます(法務局は福井市なら税務署などが入っている春山合同庁舎の中にあります)。預かり費用はたったの3900円。この金額で終生預かってもらえるのです(しかも、自宅などで保管していた場合と違い、残された人は面倒な裁判所での「検認」をする必要がありません。)
  • 用紙はA4サイズの用紙を使い、必ず,最低限,上部5ミリメートル,下部10ミリメートル,左20ミリメートル,右5ミリメートルの余白をそれぞれ確保する必要があります。(市販の「遺言書用」とされる用紙の中にはこの規格にそってないものもあるので注意して下さい)。一般の方なら、法務局HPにあるPDFをプリントして使うのが安心でしょう。
  • 作製から保管に要する時間は、自分で書いて遺言書を仕上げるのに1、2時間~、戸籍など証明書収集に半日~、申請書作成に30分~数時間、予約15分、当日1時間半程度は見込んでおかれて下さい。法務局の予約の状況にもよりますが、1~2週間程度はみておかれた方がよいかもしれません。
  • 法務局の保管サービスを使う際には、法務省のHPを参考にされて下さい。
    預けて安心!自筆証書遺言書保管制度(法務省)

【福井県内の法務局一覧】

  • 福井地方法務局(本局)福井市春山1丁目1番54号(福井春山合同庁舎)
    電話:0776(22)5090→アナウンスが流れたら5番を押してください。
  • 武生支局 越前市新町9号9番地11
    電話:0778(22)0194→5番を押してください
  • 敦賀支局 敦賀市松栄町7番28号(敦賀地方合同庁舎)
    電話:0770(25)0174
  • 小浜支局 小浜市後瀬町7番10号(小浜地方合同庁舎)
    電話:0770(52)0238

メリットは、そこそこ手軽でいくらか簡単、安い、ってところでしょうか。

デメリットとしては、意外と手続きが面倒という声も(予約後、申請書や遺言や住民票等を持参して行きます)。本文より保管の申請用紙に書くことが多く、書き方に悩む方も多いです(法務局の方が教えて下さいますが)。書類を集めて、予約して、当日は審査に1時間はかかるので、思った程「手軽」な感じではない印象です。
その為か、法務局で当初予定していた程には件数が伸びていないようです。

そして、やはり心配なのは内容。
法務局では規定の空欄があるか、署名や捺印があるかなどの保管するための「形式」審査をするだけで、有効な「内容」になっているか確認はできない(しない)ことになっています。法律的に有効なのか、有効であっても法的に感情的に紛争になる内容でないか、専門家に確認するのがよいでしょう。

以前、銀行の担当の方に、「福井ではちゃんとした自筆証書遺言をみたことがないんです」と言われたことがあります。預けるのが本当に”使える”遺言なのか、今一度考えてみましょう。「方法1」と同じく複雑な遺言(条項が多数、遺留分を侵害しそう、条件付き、相続人等を何人も記載する、株式などの金融資産があるなど)であれば、公正証書での遺言をお勧めします。


方法3 公証人役場を利用して公正証書を作る

公正証書遺言
公正証書遺言では公証人役場に原本が保管され、遺言者や遺言執行者には正本や謄本が渡されます。
  • 公証人役場で公証人が作成します。依頼者が自筆で書く必要はありません。法的にもしっかり、信用性も高い遺言が出来上がります(現在遺言書と言えば公正証書がほとんどとなっています。手続きの際に、関係者の戸籍等証明書を集める必要があります。
  • 依頼者が150歳になるまで(!)公証人役場が原本を保管してくれます。(遺言者には正本、謄本と呼ばれる基本的にそれだけで手続きができる写しが渡されます。)
  • 専門家を介さない場合は自分で予約して公証役場に相談に行き(数回に渡ることも)、関係者の戸籍や不動産登記、固定資産税評価証明書など証明書を集め、納得できる遺言(案)が出来上がったら公証人役場に行き、公証人が読み上げた内容について、その場で遺言者と証人2名が署名捺印をします。利害関係のない証人が二人必要ですが、公証人役場に証人になってくれる人の紹介を依頼できます(1名5千円程度のようです)。また、入院中などの場合、公証人が出張して署名捺印を出先ですることも可能です(出張費が加算されます)。
  • 公証人役場に支払う手数料は、資産や内容で変化します。私が支援した経験では今までのところ通常数万円~十数万円程度
  • 作製にかかる時間は事前を含めて相談で2時間~数時間(書き直しなどがあれば時間が長くなりますが内容は慎重に検討するべきです)、関係者の戸籍や住民票、不動産登記謄本、固定資産税評価証明書(必要な証明書は内容によって異なります)など収集に半日~数日(郵送だと2週間程度みた方がよいです)、署名に1時間(署名自体は30分で終わります)。このように必要な手数が多い為、経験上、実際には依頼して1か月~1か月半程度かかる方が多いです。ただ、急ぐ必要がある場合は考慮して貰える場合もあります。

【福井県内の公証役場一覧】

  • 福井公証人合同役場 福井市順化1丁目24番43号ストークビル福井1番館9階
    電話:0776-22-1584
  • 武生公証役場 福井県越前市京町2丁目1番6号善光寺ビル1階
    電話:0778-23-5689
  • 敦賀公証役場 福井県敦賀市中央町1丁目13番32号M&Mビル101
    電話:0770-23-3598

メリットは、なんといっても法律の専門家である公証人が作成する安心そして公証役場で署名が行われ保管される信用性。「遺言」と言えばほとんどが公正証書遺言である現状が物語っています。(自筆証書遺言の保管制度が始まっても、公正証書遺言の増加が止まらないようです)。

デメリットは、公証役場に支払う手数料。そして公証人役場との折衝や証明書集め、証人準備や公証役場での署名などの手順の多さ、敷居の高さかと思います。

そして、内容に関しては依頼者の考えた遺言内容をそのまま法的な言葉にした遺言の文面となるのですが、それがトラブルを生まないか、他によい案はないか。何か追加した方がよいか、など、公証人役場ではその公的立場上お伝えしにくい場合があるようです。(実際に相続となった時、親族が「こんな公正証書を公証人が作ったのは問題ではないか」と相談してこられる場合があります。それは(程度問題ですが)仕方がないかと思います。)
公正証書遺言であっても、私達のような専門家が関わることでより依頼者も回りの方も納得できる、本当に想いを実現できる遺言になるかと思います。また、公正証書に必要な様々な手続き(公証役場との折衝、書類集めなど)も専門家が代行してできますので、不安を感じることがなくなります。


Q
結局、自筆証書、公正証書、どちらがよいのでしょうか?
A

基本的には「公正証書遺言」がおすすめです。
専門家はほとんど全員そう思っていると思います。私も同じです。私に相談があった方も9割以上の方が公正証書を選択しています。
でも私の体験上、書き直す可能性が高い人、まずは手軽に作りたい方は「自筆証書遺言」からでも良いと思います。実際に自筆証書にした方もいらっしゃいますし、私も自筆証書遺言で作っています(作った自筆証書遺言を後から公正証書遺言にすることもできます。)。その場合でも、専門家に起案してもらう、最低でも内容をみてもらうことを強くお勧めします。

Q
専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に関わってもらった方がよいでしょうか?
A

法律用語に詳しい、一人でも内容を決められる、手続きの時間がある、という方なら専門家と関わらなくてもよいかとは思います。
ただ、遺言の文章については、①その内容でよいか(法的に、感情的に、税金的に)、②内容を実現するにはその書き方でよいか(法的に)、③附言(メッセージ)欄の表現はそれでよいか(感情的に)、の三段階の問題があります。自筆証書の場合は①も②も③も問題になり、結果使えない、使えても困ってしまう自筆証書遺言が多数生まれているのが現状です。公正証書遺言においては②については大丈夫ですが、①と③の問題は残ります。そして専門家に依頼すれば面倒な公証役場との折衝、書類収集も任せることができます。
専門家に依頼するかどうか悩まれている方なら、「相談」として自分のお気持ちを専門家に話してみるといかがでしょうか。福井県内には様々な専門家がいて、相談機関もあります。
遺言はずっと遺る、とても大切な「書類」となります。法律家に自分の気持ちを話してみる、その一手間があってもよいかと思います。

Q
自筆証書遺言、公正証書遺言、それに専門家に依頼した場合の料金の相場は?
A
自筆証書遺言
(自分で保管)
自筆証書遺言
(法務局に保管)
公正証書遺言
実費数百円(ペンと便箋代程度)法務局へ3900円+戸籍等の取得費数万~十数万円
専門家に依頼した場合5~10万円追加5~10万円追加5~30万円追加
※専門家はそれぞれ自由に報酬を設定できます。
Q
福井県内で専門家に相談するにはどうしたらいいですか?
A

福井県弁護士会、福井県司法書士会、福井県行政書士会が各地で相談会を開催しています。そのような相談会でまずはお話してみるのも方法かと思います。HPなどで遺言を業務としている専門家を探すのもよいと思います。
弁護士は紛争性あるもの(紛争が予測されるもの)、司法書士は不動産、行政書士はフットワークと幅広い取扱い業務を活かして複合的事情のあるものに親和性が高いですが、士業の種類より「遺言を重点業務にしているか」「遺言支援の経験が豊富か」という点、そしてプライバシーに踏み込む分野であるので「本当のことを話しやすい(相性)」が何より大切だと思います。

無料相談会の日程については、以下の各士業のHPをご覧ください
福井県行政書士会
私の所属している行政書士会。行政書士は様々な専門に分かれていますが、無料相談会では比較的に相続・遺言の実務に強い先生が配置されていることが多いです。

福井県弁護士会
弁護士は訴訟、紛争を念頭に相談にのって下さいます。無料相談会を各地で行っています。

福井県司法書士会
司法書士は不動産に関して遺言を作成することができます。登記を視野に相談にのって下さいます。

福井の遺言相談室

福井の女性のための前向きな、ゆいごん相談室。
福井市南部で遺言書作成を専門としている行政書士まきオフィス、小川真紀です。

メディア露出の多い、福井県内で最も数多く遺言書作成を手掛けている行政書士の一人です。出張相談をメインとし、原則一人で行っている為比較的手ごろな料金で作成依頼を受けています。

〇自筆証書遺言のご支援一律55,000円(税込)
〇公正証書遺言のご支援一律66,000円(税込)
※実費・証人代別、福井市・鯖江市への出張相談無料

出張相談型の遺言相談室のHPはこちら
電話での問い合わせは【相談専用】050-5317-1134へ。